水戸徳川家の江戸上屋敷内の庭園。寛永６（1629）年初代藩主頼房が庭の造営に着手し、2代光圀に引き継がれた。明の遺臣朱舜水を儒臣として登用し、中国趣味を取り入れた回遊式築山泉水庭園である。園名は『岳陽楼記』の「天下の憂いに先じて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」から、後楽園と光圀が命名した。小石川と冠したのは、大正12年（1923）であり、岡山後楽園と区別するためであった。現在は都立の庭園として公開されている。（国指定特別史跡・特別名勝）～文京区HPより転載～

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「東門」

小石川後楽園

<特別史跡・特別名勝>

江戸時代初期、寛永６年（1629）に水戸徳川家の祖である頼房が、江戸の屋敷の後園として造ったもので、二代目藩主の光圀の代に完成した庭園。光圀は造園に際し、明の儒者である朱舜水の意見をとり入れ、中国の教え「（士はまさに）天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」から後楽園と名づけた。庭園は池を中心とした「回遊式泉水庭園」になっており、随所に中国の名所の名前をつけた景観を配し、中国趣味豊かなものになっている。そして、これらによって湖・山・川・田園などの景観が巧みに表現されている。この地は元々小石川台地の先端にあり、神田上水の分流を引き入れ造園された。また、光圀の儒学思想の下に造園されており、明るく開放的な六義園と好対照をなしている。なお、後楽園は昭和二十七年三月、国の文化財保護法により、特別史跡及び特別名勝に指定されている。特別史跡及び特別名勝の二重指定を受けているのは、都立公園では浜離宮とここの二つだけ。全国でも京都の鹿苑寺（金閣寺）、慈照寺（銀閣寺）、醍醐寺三方院の五ヶ所。東京都　～下記案内板より抜粋転載～

「内庭」（うちにわ）

水戸藩書院のあったところ。「唐門」によって仕切られ、大泉水側の「後園」と分かれていた。

「唐門」と「扁額」

唐門は、私的な空間である上屋敷の「内庭」と、「後楽園」との境界にあり、唐門から「後楽園」へと向かう正式な入口門。唐門は、昭和20年（1945）の空襲により焼失し、基壇と石段、石積のみが残されていたが、東京都による復元工事により令和２年12月19日から一般公開されることとなった。扁額も唐門と同様に戦災で失われたが、大正時代の文献に残されていた古写真を基に復元が行われた。扁額には、朱舜水の名と落款が記されている。～東京都公園協会HPより抜粋転載～

「唐門」裏

「寝覚の滝」（ねぎのたき）

内庭池水の末流が滝となって木曽路の名所「寝覚めの床」にちなんで呼ばれている。

「延段」（のべだん）

中国風の素朴な石だたみで、切石と玉石を巧みに組み合わせたものである。

「竜田川」

「寝覚の滝」辺りでは「木曽川」と称された川もここ「紅葉林」では「竜田川」に変わる。紅葉の名所である奈良の竜田川にちなむ。

「駐歩泉」（ちゅうほせん）

九代斉昭がこの流れを、西行法師の和歌「道のべにしみづながるる柳かげしばしとてこそ立ちどまりつれ」にちなみ「駐歩泉」と命名し、自ら筆をとり碑を立てた。

「西行堂跡」

藩祖頼房の時代に、御鞍打師「小野荘兵衛」作の西行法師の木像を安置したことから西行堂と名づけられた。ここにある西行の歌碑は、九代斉昭の「駐歩泉」の碑にちなみ同夫人が建てたものである。なお、この堂は戦災により焼失した。

「蓬莱島」

中国の神仙思想を表す島。亀の形をした中島で、先端の石は当園の作庭に携わった庭師の名前をつけ「徳大寺石」と呼ばれる。島には弁財天を祀った祠がある。

「異形燈籠」

松原の南、大泉水東側に置かれた大きな御影石の燈籠。四角の台座上に四角の火袋と笠、九輪形の宝珠がある。大正12（1923）年の関東大震災で倒れ、火袋が破損したものの修復された。

「大泉水」

この庭園の中心となる景観。蓬莱島と竹生島を配し、琵琶湖を見立てて造られた。昔はこの池で舟遊びをしたといわれている。

「一つ松」

琵琶湖を模した大泉水に対し、近江大津の「唐崎の一つ松」を写したと伝わる。何度か植え替えられているが、二代光圀が大切にした松といわれる。

「小廬山」

中国の景勝地「廬山」にちなみ、京都東山の清水寺一帯は、「小廬山」と呼ばれている。当園ではこの一帯を京都東山に見立てていることから、「小廬山」と名付けられている。

「桃山形燈籠」

涵徳亭の北側、芝庭から渡月橋へ向かう途中にあり、円形の笠が載った特徴的な燈籠。大正12（1923）年に関東大震災で倒れたが、後に復旧。

「渡月橋」

ここから北西の一帯は京都の名勝地に見立てられている。この小さな土橋は嵐山の大堰川にかかる「渡月橋」を表す。

「渡月橋」から見た

「通天橋」

「西湖の堤」（せいこのつつみ）

中国の名勝地杭州「西湖」にかかる堰堤を模した堤。本園以後に造られた大名庭園の「西湖の堤」の先駆けとなった。

「大堰川」

大堰川の名は京都嵐山を想起して名付けられた。三代将軍徳川家光の好みで作られたとされる。かつては神田上水の水を引き入れていた。西岸には蛇籠を伏せ、深山激流の趣をつくっている。

「屏風岩」

屏風のようにまっすぐに屹立しているため、この名が付いた。三代将軍家光が訪れた際に、岩の近くの松に手斤をかけ、河原の石に腰を下ろして休んだといわれる。

「清水観音堂跡」

京都清水寺を模した観音堂があったが大正12年の関東大震災で焼失した。

「通天橋」（つうてんきょう）

紅葉の名所である京都嵐山の東福寺「通天橋」にならい、大堰川にかけられた朱塗りの橋。この橋から眺めるイロハモミジの新緑と秋の紅葉が美しい。

「得仁堂」（とくじんどう）

二代光圀による、園内で最古の建物。光圀が『史記』を読み感銘を受けた「伯夷と叔斉」の木像が安置されていた。堂の名は、論語の「仁を求めて仁を得たり」による。

「円月橋」（えんげつきょう）

朱舜水の設計と指導により駒橋嘉兵衛が造ったとされる中国様式の石橋。橋が水面に映る形が満月になることから名付けられた。後に八代将軍徳川吉宗が江戸城吹上の庭に模索を命じ、果たせなかったとの逸話がある。石造アーチ橋として国内最古のうちのひとつ。

「愛宕坂」

京都愛宕山の坂にならって造られたもので、四十七段の石段からなっている。傾斜の急な方を男坂、ゆるい方を女坂と称している。

「白糸の滝」

六代治保のときに造られた。その様子が千条の白糸が垂れているように見えることから、名づけられた。

「神田上水跡」

「不老水」

いかなる干ばつにも水が枯れず、またいかなる洪水にもあふれ出すことがなかったことから、不老水と呼ばれる。

「稲田」

二代目光圀や跡継ぎである綱條の夫人に農民の苦労を教えようと作った田圃で、現在は毎年文京区内の小学生が田植え、稲刈りを行っている。

「九八屋」（くはちや）

江戸時代の風流な酒亭の様子を表した。命名は「酒を飲むに昼は九分 夜は八分にすべし」と酒飲みならず万事控えるを良しとする、との教訓による。

「赤門」

本園の東側にあり、奥には「錦春稲荷」がある。赤門が記された史資料は少なく、詳細は不明である。 平成23（2011）年の東日本大震災の影響や、経年劣化により袖塀等に歪みが生じ、平成26（2014）年に修復された。修復時に発見された釘などの部品から判断すると、現在の赤門 は明治時代以降に建てられた可能性が高いことがわかった。

「錦春稲荷神社」

「西門」